治療が一段落した後、巨大な黒いドラゴンが私とザクロさんの前に降り立った。そのドラゴンには見覚えがあった。ビギナの街を焼き払ったブラックドラゴン。だが今はあの時のような危険を感じなかった。
「ザクロ。城に戻るぞ」
抑揚のない声で、ドラゴンに乗っていた黒い鎧を着た人物が告げる。
「嫌です」
ザクロさんは即答した。
「……」
ドラゴンテイマーは困っていた。
「……我侭を言うな」
「我侭でも嫌です。ここにはまだ怪我をしている人達がいるんです」
「今死んでいなければ、放っておけば治る程度の怪我だろう。大丈夫だ」
「それでも怪我は、怪我です」
「……」
気のせいか、ブラックドラゴンテイマーが、物凄く困っているように見えた。ザクロさんがここまで頑固だとは、思っていなかったようだ。
「聞かれたくない話なのだが、まあいい。城で大勢の怪我人が出た。乗ってくれ」
「……え?」
ドラゴンの頭が、ザクロさんのローブの帽子を咥えた。有無を言わさずドラゴンの背中まで、首根っこを掴まれた子猫のように運ばれたザクロさんは、ロケットの発射のような暴風を残してドラゴン達と共に消えた。
私は炎の男と10さんの戦闘中に見た、城で起こった巨大な雷を思い出していた。
……面白そうだ。
「ザクロ。城に戻るぞ」
抑揚のない声で、ドラゴンに乗っていた黒い鎧を着た人物が告げる。
「嫌です」
ザクロさんは即答した。
「……」
ドラゴンテイマーは困っていた。
「……我侭を言うな」
「我侭でも嫌です。ここにはまだ怪我をしている人達がいるんです」
「今死んでいなければ、放っておけば治る程度の怪我だろう。大丈夫だ」
「それでも怪我は、怪我です」
「……」
気のせいか、ブラックドラゴンテイマーが、物凄く困っているように見えた。ザクロさんがここまで頑固だとは、思っていなかったようだ。
「聞かれたくない話なのだが、まあいい。城で大勢の怪我人が出た。乗ってくれ」
「……え?」
ドラゴンの頭が、ザクロさんのローブの帽子を咥えた。有無を言わさずドラゴンの背中まで、首根っこを掴まれた子猫のように運ばれたザクロさんは、ロケットの発射のような暴風を残してドラゴン達と共に消えた。
私は炎の男と10さんの戦闘中に見た、城で起こった巨大な雷を思い出していた。
……面白そうだ。
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