その後、私は廃れた港、巨大な穴だらけの戦場まで、ザクロさんと共に移動した。ザクロさんは何故か何もない所で、幾度か転んだ。不思議だ。何かのスキルなのだろうか。
「うー……痛いです」
白いローブは既に汚れだらけで、自身の顔も傷だらけ。ザクロさんは涙目になりながらも、戦場へと迷わず進む。自身の傷は、治さない。自身というプレイヤーが、思考にない。
……ちょっと、危ない。何が、と具体的には言えないが。曖昧な危険感。
それはザクロさんの周りを常に漂っている感じ。大きくもなく、小さくもない。
献身の姿勢は立派で素晴らしいものだが、同時に危険でもある。何かが、そう言いたいのだろうか。私はそう思考した。
それをあえてザクロさんに言うようなことはしなかった。ザクロさんは今、必死なのだ。
戦場。遠くからではわからなかった、人々の勝利の表情と、傷跡。支えたり、支えられたりしながら、多くのプレイヤーがリヴァイアサンへの勝利を喜んでいた。
結局そこで私は、度々転ぶザクロさんに手を貸すことぐらいしかできることはなかった。物凄い数の死者が出た戦場で、走り回るザクロさんの後をついていく。遠いところ、近いところで昇天する音が断続的に聞こえた。10さんのことを思い出して、胸が苦しくなった。
――この戦場でも、私は何も出来ない。人にできることは限られている。何処かで聞いた言葉を思い出して、自分の無力さを痛感した。
いつのまにかザクロさんの周りには人集りができていた。時々聞こえるプレイヤー達の話し声から察すると、ザクロさんは数少ないアトラ王直属の部下で、回復魔法や補助魔法の達人、その方面では最高の魔法使い、なのだという。それと、ドジっ子ぶりも有名だ。逆にファンを増やす結果となっている模様。
軽く羨望。私にもそんな能力があったなら、10さんも……。なんて、考えていた自分に気付く。なんと、浅ましい人間なのだろうか、私は。軽く責任転嫁もしていた。ため息が出る。
夕日は完全に沈み、Liveの夜が訪れた。どんな人物が、どれだけ死のうとも、世界は変わらず回り続ける。
これからのことを、考えようとして、
『楽しむのが重要なんだよ』
不意に脳内で、10さんの声が、木霊した。
「うー……痛いです」
白いローブは既に汚れだらけで、自身の顔も傷だらけ。ザクロさんは涙目になりながらも、戦場へと迷わず進む。自身の傷は、治さない。自身というプレイヤーが、思考にない。
……ちょっと、危ない。何が、と具体的には言えないが。曖昧な危険感。
それはザクロさんの周りを常に漂っている感じ。大きくもなく、小さくもない。
献身の姿勢は立派で素晴らしいものだが、同時に危険でもある。何かが、そう言いたいのだろうか。私はそう思考した。
それをあえてザクロさんに言うようなことはしなかった。ザクロさんは今、必死なのだ。
戦場。遠くからではわからなかった、人々の勝利の表情と、傷跡。支えたり、支えられたりしながら、多くのプレイヤーがリヴァイアサンへの勝利を喜んでいた。
結局そこで私は、度々転ぶザクロさんに手を貸すことぐらいしかできることはなかった。物凄い数の死者が出た戦場で、走り回るザクロさんの後をついていく。遠いところ、近いところで昇天する音が断続的に聞こえた。10さんのことを思い出して、胸が苦しくなった。
――この戦場でも、私は何も出来ない。人にできることは限られている。何処かで聞いた言葉を思い出して、自分の無力さを痛感した。
いつのまにかザクロさんの周りには人集りができていた。時々聞こえるプレイヤー達の話し声から察すると、ザクロさんは数少ないアトラ王直属の部下で、回復魔法や補助魔法の達人、その方面では最高の魔法使い、なのだという。それと、ドジっ子ぶりも有名だ。逆にファンを増やす結果となっている模様。
軽く羨望。私にもそんな能力があったなら、10さんも……。なんて、考えていた自分に気付く。なんと、浅ましい人間なのだろうか、私は。軽く責任転嫁もしていた。ため息が出る。
夕日は完全に沈み、Liveの夜が訪れた。どんな人物が、どれだけ死のうとも、世界は変わらず回り続ける。
これからのことを、考えようとして、
『楽しむのが重要なんだよ』
不意に脳内で、10さんの声が、木霊した。
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