「あの、大丈夫ですか?」
すぐ近くで透き通るような声がした。
白いローブの女性が、横で心配そうに私を見ていた。10さんが、私と共に、助けた女性。ローブについた帽子と、端正な顔立ちの間から覗く、流れるようなストレートの金髪。かなりの美人であることは間違いがない。
「すいません、大丈夫じゃないですよね? 怪我、してますよね? ごめんなさい、手のひら、見せてください」
女性の細い指が、私の両手のひらに触れた。私の手のひらにはなるほど確かに、瓦礫をどかした時についた幾つかの傷が見える。怪我というほどでもないが。
「ヒール」
女性が一言、短く呪文を唱えると、暖かい光が手のひらを包み、みるみるうちに傷が癒えた。これが噂の回復魔法というやつなのだろうか。
「はい、治りました」
女性は満足そうな笑みを浮かべる。まるで自分が助かったような顔だ。何故だろう。
私が不思議に思っていると、女性は突然立ち上がった。
「すいません。他の人の怪我も治さないといけないので、これで、失礼しますね」
ぺこりと礼儀正しくお辞儀をして、その女性は港の方向へ向かって走り出そうとした。その足取りは危なっかしく……
「あっ」
危ない。私が声を出そうとした瞬間、女性は突き出たレンガに躓いて転んでいた。何処かでみた光景。これがデジャヴか。受身も取れなかったようで、顔を押さえながらフラフラ立ち上がる女性の後姿は、見ていられなかった。
私は目の前にあった10さんの遺品を全て拾い上げて、女性の横へと走り出す。
その際に、
ネーム:確認
ネーム:ザクロ
……。
ザクロさんの横について走る。ザクロさんは何故か恥ずかしそうに、私から顔を背けた。
すぐ近くで透き通るような声がした。
白いローブの女性が、横で心配そうに私を見ていた。10さんが、私と共に、助けた女性。ローブについた帽子と、端正な顔立ちの間から覗く、流れるようなストレートの金髪。かなりの美人であることは間違いがない。
「すいません、大丈夫じゃないですよね? 怪我、してますよね? ごめんなさい、手のひら、見せてください」
女性の細い指が、私の両手のひらに触れた。私の手のひらにはなるほど確かに、瓦礫をどかした時についた幾つかの傷が見える。怪我というほどでもないが。
「ヒール」
女性が一言、短く呪文を唱えると、暖かい光が手のひらを包み、みるみるうちに傷が癒えた。これが噂の回復魔法というやつなのだろうか。
「はい、治りました」
女性は満足そうな笑みを浮かべる。まるで自分が助かったような顔だ。何故だろう。
私が不思議に思っていると、女性は突然立ち上がった。
「すいません。他の人の怪我も治さないといけないので、これで、失礼しますね」
ぺこりと礼儀正しくお辞儀をして、その女性は港の方向へ向かって走り出そうとした。その足取りは危なっかしく……
「あっ」
危ない。私が声を出そうとした瞬間、女性は突き出たレンガに躓いて転んでいた。何処かでみた光景。これがデジャヴか。受身も取れなかったようで、顔を押さえながらフラフラ立ち上がる女性の後姿は、見ていられなかった。
私は目の前にあった10さんの遺品を全て拾い上げて、女性の横へと走り出す。
その際に、
ネーム:確認
ネーム:ザクロ
……。
ザクロさんの横について走る。ザクロさんは何故か恥ずかしそうに、私から顔を背けた。
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もっと突き抜けられるはずだ