46.立

2007年1月18日 LIVE コメント (2)
「あの、大丈夫ですか?」

 すぐ近くで透き通るような声がした。
 白いローブの女性が、横で心配そうに私を見ていた。10さんが、私と共に、助けた女性。ローブについた帽子と、端正な顔立ちの間から覗く、流れるようなストレートの金髪。かなりの美人であることは間違いがない。

「すいません、大丈夫じゃないですよね? 怪我、してますよね? ごめんなさい、手のひら、見せてください」

 女性の細い指が、私の両手のひらに触れた。私の手のひらにはなるほど確かに、瓦礫をどかした時についた幾つかの傷が見える。怪我というほどでもないが。

「ヒール」

 女性が一言、短く呪文を唱えると、暖かい光が手のひらを包み、みるみるうちに傷が癒えた。これが噂の回復魔法というやつなのだろうか。

「はい、治りました」

 女性は満足そうな笑みを浮かべる。まるで自分が助かったような顔だ。何故だろう。
 私が不思議に思っていると、女性は突然立ち上がった。

「すいません。他の人の怪我も治さないといけないので、これで、失礼しますね」

 ぺこりと礼儀正しくお辞儀をして、その女性は港の方向へ向かって走り出そうとした。その足取りは危なっかしく……

「あっ」

 危ない。私が声を出そうとした瞬間、女性は突き出たレンガに躓いて転んでいた。何処かでみた光景。これがデジャヴか。受身も取れなかったようで、顔を押さえながらフラフラ立ち上がる女性の後姿は、見ていられなかった。
 私は目の前にあった10さんの遺品を全て拾い上げて、女性の横へと走り出す。

 その際に、

 ネーム:確認

 ネーム:ザクロ

 ……。

 ザクロさんの横について走る。ザクロさんは何故か恥ずかしそうに、私から顔を背けた。

コメント

痺れ武蔵
痺れ武蔵
2007年1月18日23:10

これくらいなら大したことはない

もっと突き抜けられるはずだ

草餅
草餅
2007年1月19日1:24

ザクロ萌え!!!!!!!!!!!

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