44.会2

2007年1月17日 LIVE
 さてまた黒い空間。

「ぐふふ、うまくいっただ……」
「……貴方が成功するなんて珍しいですね、【暴君】」
「なんだよ……【炎帝】……。ぐふふ、成功してほしくなかったのか……?」
「いいえ、そんなことはこれっぽっちも思っていませんですよ。ええ、全くね。私の炎に包まれた魂と肉体に誓って」
「ぐふふ、いちいちお前はくどいんだぁよ……ぐふ」
「そうですか? 結構傷つきましたね。くどい。くどいは傷つきましたよ」
「ぐふふ、とにかくオラの賢者の石強奪の功績は大きいだぁろう……?」
「いえいえ、私の元老抹殺も結構な功績ですよ」
「ぐふふ、10とかいう、小物じゃあなあ……」
「……いいえ、中々やりましたよ。元老、【神速】の10……」

 フルファイアは考え込む。

 10……。最後まで私を、憎まなかった。不思議なプレイヤーだった。

 まあ、今は、もういない。それが何故だったのかは、考えても仕方がないことかもしれない。
 それより気になるのは、10がフランベルジュの剣を受けてまで、かばった初心者。私の炎を纏った剣、『フランベルジュ』は、敵を切ると同時に焼く。焼かれた傷口からは血もでず、じわじわと敵の体力を奪っていく。そのことをあのトレジャーハンターとして有名な元老、10が、知らぬわけはなかっただろうに。そこまでして、守る価値があったのか。いや、あのお人好しそうな10ならただ友達を庇ったとも考えられる。いや、その方が自然か。

 ま、これも今となってはわからぬこと。
 首を横に振り、フルファイアは別のことを考えだした。フルファイアは思考が好きだった。
 切られたと同時に焼かれる傷口は、治療を効き難くし、体力も徐々に奪っていく。フルファイアは、確実に10の最期を看取ったであろう初心者の顔を、思い浮かべた。

 【炎帝】、やはり邪悪な笑いを、抑えることが、できなかった。

コメント

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索