第二部 魔法の王国:カイド
↑なんとなくかっこいいでしょう。
魔法の王国、カイドは大きな海を挟んで東と西に別れている。一部は年中雪が降っている北の大国だ。その中央の海にある島に、カイド王国首都『フォロッサ:Forossa』(ガスパールさんよろしく)がある。その首都がある島は、東側の大陸と近いため、私は東側カイド王国港町、『コダテ:Codate』(またまたよろしく)に来ていた。
……何故か。
わかった、説明しよう。
まずは、とある人物との接触から――。
オルグの森事件を目撃し終えた後。
このままシムシに戻るのもどうなのだろうと、迷っていた頃。
軽い寒気を後頭部に感じたので、ちょっと頭を傾けてみた。
「おぉっ!?」
『誰か』の奇声と共に放たれた『誰か』のパンチを、私は自然と避けていた。赤いスカーフが視界をよぎる。
「なんだこの!」
『誰か』はそのまま蹴りを放とうとしていた。やはり腹部に感じた寒気を振り払うように体を動かす。これまた紙一重で蹴りを避ける。
「……!」
すぐに距離をとり、相手を観察する。いきなり攻撃をしてきた、プレイヤー? プレイヤーキラーか?
「何するんですか……!」
理不尽な攻撃。全て避けたとはいえ怒りが湧く。
「まじかよ……。アメツキの言ってたことが本当だったとは……。くそー、なんか悔しいぞ」
キャロットブロンドのウルフカット。派手な赤いスカーフ。ヒーローのような出で立ちのそいつは……。
「よう、アレックス。俺は7《セブン》番外。10《テン》だ。本当の名前は捨てた! ネーム確認なんていう、ダサい真似はするなよ!」
ネーム:確認
「あ! お前! したな! 絶対した! 百パーセントした! 確認した! 俺をデ○ノートで殺す気なんだろ!」
10さんの上に青いウィンドウが現れたが、何故か何も書かれていなかった。これは初めてのことである。バグだろうか。よく眼を凝らして見えない。
「くくく、どうやら気付いたようだな! 俺のかっこよさに!」
これ以上なく自然に流す。
「いや、名前が……」
「ああ、そのことか! それはだな、一ヶ月かけてAランクダンジョンで死にかけながら手に入れたアイテム……」
パンカパカパーンとめでたい効果音が聞こえた気がした。何処だ? 何処から聞こえたんだ?
10さんは何処からか取り出した宝石のようなものを天に掲げ、自分に酔っていた。私は、呆気にとられていた。
「この『名前隠し君』の効果なのだ! これによって俺の名前は誰にも見えなくなったのだ!」
……そんなものに、一月もかけて死にかけたのか……。
それが10さんとの出会いだった。
↑なんとなくかっこいいでしょう。
魔法の王国、カイドは大きな海を挟んで東と西に別れている。一部は年中雪が降っている北の大国だ。その中央の海にある島に、カイド王国首都『フォロッサ:Forossa』(ガスパールさんよろしく)がある。その首都がある島は、東側の大陸と近いため、私は東側カイド王国港町、『コダテ:Codate』(またまたよろしく)に来ていた。
……何故か。
わかった、説明しよう。
まずは、とある人物との接触から――。
オルグの森事件を目撃し終えた後。
このままシムシに戻るのもどうなのだろうと、迷っていた頃。
軽い寒気を後頭部に感じたので、ちょっと頭を傾けてみた。
「おぉっ!?」
『誰か』の奇声と共に放たれた『誰か』のパンチを、私は自然と避けていた。赤いスカーフが視界をよぎる。
「なんだこの!」
『誰か』はそのまま蹴りを放とうとしていた。やはり腹部に感じた寒気を振り払うように体を動かす。これまた紙一重で蹴りを避ける。
「……!」
すぐに距離をとり、相手を観察する。いきなり攻撃をしてきた、プレイヤー? プレイヤーキラーか?
「何するんですか……!」
理不尽な攻撃。全て避けたとはいえ怒りが湧く。
「まじかよ……。アメツキの言ってたことが本当だったとは……。くそー、なんか悔しいぞ」
キャロットブロンドのウルフカット。派手な赤いスカーフ。ヒーローのような出で立ちのそいつは……。
「よう、アレックス。俺は7《セブン》番外。10《テン》だ。本当の名前は捨てた! ネーム確認なんていう、ダサい真似はするなよ!」
ネーム:確認
「あ! お前! したな! 絶対した! 百パーセントした! 確認した! 俺をデ○ノートで殺す気なんだろ!」
10さんの上に青いウィンドウが現れたが、何故か何も書かれていなかった。これは初めてのことである。バグだろうか。よく眼を凝らして見えない。
「くくく、どうやら気付いたようだな! 俺のかっこよさに!」
これ以上なく自然に流す。
「いや、名前が……」
「ああ、そのことか! それはだな、一ヶ月かけてAランクダンジョンで死にかけながら手に入れたアイテム……」
パンカパカパーンとめでたい効果音が聞こえた気がした。何処だ? 何処から聞こえたんだ?
10さんは何処からか取り出した宝石のようなものを天に掲げ、自分に酔っていた。私は、呆気にとられていた。
「この『名前隠し君』の効果なのだ! これによって俺の名前は誰にも見えなくなったのだ!」
……そんなものに、一月もかけて死にかけたのか……。
それが10さんとの出会いだった。
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