30.二

2007年1月2日 LIVE
 第二部 魔法の王国:カイド

 ↑なんとなくかっこいいでしょう。

 魔法の王国、カイドは大きな海を挟んで東と西に別れている。一部は年中雪が降っている北の大国だ。その中央の海にある島に、カイド王国首都『フォロッサ:Forossa』(ガスパールさんよろしく)がある。その首都がある島は、東側の大陸と近いため、私は東側カイド王国港町、『コダテ:Codate』(またまたよろしく)に来ていた。

 ……何故か。

 わかった、説明しよう。

 まずは、とある人物との接触から――。

 オルグの森事件を目撃し終えた後。
 このままシムシに戻るのもどうなのだろうと、迷っていた頃。
 軽い寒気を後頭部に感じたので、ちょっと頭を傾けてみた。

「おぉっ!?」

 『誰か』の奇声と共に放たれた『誰か』のパンチを、私は自然と避けていた。赤いスカーフが視界をよぎる。

「なんだこの!」

 『誰か』はそのまま蹴りを放とうとしていた。やはり腹部に感じた寒気を振り払うように体を動かす。これまた紙一重で蹴りを避ける。

「……!」

 すぐに距離をとり、相手を観察する。いきなり攻撃をしてきた、プレイヤー? プレイヤーキラーか?

「何するんですか……!」

 理不尽な攻撃。全て避けたとはいえ怒りが湧く。

「まじかよ……。アメツキの言ってたことが本当だったとは……。くそー、なんか悔しいぞ」

 キャロットブロンドのウルフカット。派手な赤いスカーフ。ヒーローのような出で立ちのそいつは……。

「よう、アレックス。俺は7《セブン》番外。10《テン》だ。本当の名前は捨てた! ネーム確認なんていう、ダサい真似はするなよ!」

 ネーム:確認

「あ! お前! したな! 絶対した! 百パーセントした! 確認した! 俺をデ○ノートで殺す気なんだろ!」

 10さんの上に青いウィンドウが現れたが、何故か何も書かれていなかった。これは初めてのことである。バグだろうか。よく眼を凝らして見えない。

「くくく、どうやら気付いたようだな! 俺のかっこよさに!」

 これ以上なく自然に流す。

「いや、名前が……」

「ああ、そのことか! それはだな、一ヶ月かけてAランクダンジョンで死にかけながら手に入れたアイテム……」

 パンカパカパーンとめでたい効果音が聞こえた気がした。何処だ? 何処から聞こえたんだ?
 10さんは何処からか取り出した宝石のようなものを天に掲げ、自分に酔っていた。私は、呆気にとられていた。

「この『名前隠し君』の効果なのだ! これによって俺の名前は誰にも見えなくなったのだ!」

 ……そんなものに、一月もかけて死にかけたのか……。

 それが10さんとの出会いだった。

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