27.消

2007年1月1日 LIVE
 再びできたモンスター達の塊は、ボスに向かって移動しはじめた。

「……は?」

 その光景は、ある意味滑稽だった。
 移動に合わせて外側から、モンスター達が剥がれていく。

「元々、あんなでっかいバリアは効率が悪いだけなんだ。インパクトは強烈で敵の戦意喪失には持って来いなんだがな、広く浅くなるから破られやすい」
(あれで破られやすいのか?)
 疑問はあえて口に出さなかった。
「大体、市長個人だけであんな数は問題じゃない。市長が揃えた軍も、7《セブン》も、ただ民と国を守るための保険みたいなものだ。その保険さえも、危険な目に遭わせない。そしてさらに敵の命さえも、市長は極力守ろうとする。市長の本当の強さは、そういうところなのかも知れないな」
 ボスの前に市超(モンスターの塊)が、立ち止まった。

「もちろんそれは理想だが、市長にはそれを実現する力がある」

 モンスター達はやがて全て力尽きた。いや、諦めた。白いオーラを纏った白髪の老人。その鎧も全て、真っ白に染まっていた。

“数十 数百 …… バリアか 狂っている な”

「褒め言葉として受け取っておくよ」

“最後だ 我ら 誇り高い”

「ああ、君達は、強かった」

 ライオンヘッドキメラは炎を吐き、翼で飛び上がり、アイゼンさんに突撃した。
 アイゼンさんはその様子を、尊いものを見るような目で、見つめた。

 アイゼンさんにキメラの六本の腕と三十の爪が触れたと思った瞬間。キメラは消滅していた。

 大量の金貨と、戦利品が地面に落ちた。
 流れる雲が太陽を、隠した。

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