23.始

2006年12月26日 LIVE コメント (1)
 それは、一瞬の出来事だった。

 アイゼンさんを飲み込んだモンスター達は、さらにその上に重なっていき、アイゼンさんを中心とした大きな塊になっていった。7《セブン》はその様子を見て、それぞれ後方へ飛んだ。ジェットで戻る3さんと他の6人は同じ程度の速さだった。異常だ。
 アイゼンさんとモンスター達からそれなりの距離をとった7人。

 私は何かを思考し、何か呟こうとした。

 ――が、モンスター達のシルエットが、小刻みに動いた。
 続いて、地鳴り。モンスターから大地へ、大地から私へ、その振動は段々広がり、大きくなり、

 アイゼンさんを中心に巨大な魔方陣が展開された。

 アイゼンさんを中心に物凄い速度で広がった半球型の魔方陣は、モンスター達を全て弾き飛ばし、ブウンと大きな電子音を発して、一定の大きさで留まった。半球型の魔方陣に描かれた無数の文字は、膨張が停止した後にゆっくり動き出し、回りだした。
 よく周りを観察してみると、7《セブン》のうちの一人、3さんの隣に位置する、魔法使いらしき格好をした男性の周りにも魔方陣が展開していた(こちらはプレイヤーを中心に地面に平面状だったが)。頭上にはどういう仕組みか、『4−魔法―対物理攻撃:防御バリア』と、光で描かれた文字が浮かんでいた。
 弾き飛んでいたモンスター達が地面にぼたぼたと落ちた。

“怯むな ただの 物理防御 バリアだ”

 モンスター達のボスの声が響いた。
 言うまでもなく、弾かれたモンスターも、巨体を持ったモンスターも、鋭い牙を持ったモンスターも、その魔方陣でできた物理バリアを同時に攻撃する。

 パキン

 魔方陣の文字の一部が動かなくなった。しかし、アイゼンさんは鞘をさしたままの剣を両手で地面に立てただけで、他に何もする様子はない。
 そしてまた、7人の上級者の内一人に、変化が起きた。
「行け!」
 今度は3さんの体に取り付けられていた変な装置から、無数の球体が放たれた。それぞれ黄色い電撃のようなオーラを纏い、一斉にアイゼンさんの魔方陣の方へと飛んだ。
 3さんの頭上に浮かんだ文字は、

『3――機械――対物理攻撃:防御バリア』

 その無数の球体はアイゼンさんの魔方陣内、均等な位置に張り付き、それぞれが黄色いビーム線で連結した。ビーム線で描かれた無数の仄かに黄色い『面』は、魔方陣の文字を全て取り込んだ。

 瞬間、強烈な閃光と爆発音。

 モンスター達は体格によるわけ隔てなく、弾き飛ばされた。

 解る。無数の面、黄色く光る電磁場と魔方陣の無数の文字。不敵に笑うアイゼンさん。このバリアは、絶対に破れない。

“…… 魔法の力 機械の力が 合成された 対物理攻撃:防御バリアか ……”
 モンスター達の憎しみは、それでも止まらない。

コメント

ザクロ
ザクロ
2006年12月27日0:50

不敵に笑うアイゼンさんさんかっこいーーー

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