21.風

2006年12月24日 LIVE
“が、出撃の前にアイゼン様がモンスターとの話し合いに向かう”

 約四千名の兵が一度にこけた気がした。大地が揺れる。そりゃ、えぇー! だろう。

“モンスターが徒党を組んで何か行動を起こすのはよっぽどのことである。アイゼン様はその原因を単身でモンスター達に聞きにいくと言われておる”

 ざわめきが広がる。モンスターと話し合い? 正気だろうか。

“皆の者、案ずるな。アイゼン様には補助役となる7《セブン》もついている。これで本当に以上だ”

 テレパシーが途切れる。場は一瞬で静まった。それだけ首相への信頼が強いのだろう。声高に異議を唱えるものはいなかった。私は軍関係者に見つからないように、木々や草の間を縫って前へ進んだ。北西は開けた草原だったが、道とその付近以外は草の背が高かったのでどうにかなった。
 アイゼンさんと7《セブン》(と思われるプレイヤー達、3さんも含む)は、台を降りて前進を始めた。既に約五千といわれたモンスターの群れが、アイゼンさん達の前、草原の地平線の上に影となって前進してきているのが見えた。まだ距離はある。
 ゆっくり歩き出したアイゼンさんと七名の横を、私は見つからないように移動する。日は丁度真上。正午といったところだろう。風は緩やかで草木もゆっくり揺れている。さらさらと風の流れる音は、場の静けさをさらに際立たせた。

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