19.急

2006年12月23日 LIVE
 いきなり城、いや、都市全体が慌しくなった。
 アイゼンさんはすまないと短く言って、部屋を出た。アメツキさんと3さんがそれに続く。
「7《セブン》全員に召集をかけろ!
 北西の壁と門の前に本軍を配置するぞ!
 使用可能な兵器は七割を北西の軍へ!
 警備と巡回兵の配置はそのままだ! 民に警戒を促せ!」
「はっ!」
 伝令兵は命令を受けると、そのまま走り出した。会長から司令に変わったアイゼンさんはその後、現場まで移動するのだろう。
「……」
 取り残された、私。
「……モンスターの、大群……北西……」
 私はイスから立ち上がった。既にアイゼンさんたちの姿は城になく、寒気が、私の背筋を襲っていた。

 北西の門は私とアメツキさんがアレクサンドルに入ったときに、馬車で通った門だった。アレクサンドルは都市全体が高さ約三メートル、幅約一メートルの壁で囲われていた。門は北から北東、東、東南、南、というふうに、八方向にあった。門は普段、全て開放されていたが、今はモンスター迎撃のため軍が出ている北西の門以外、全て閉じられているようだ。
 疲れを知らない体で、住宅地を走りぬける。北西の門は、住宅地の西側にあった。
 それは、単純な好奇心なのか、複雑な使命感なのか、私自身にもわからなかった。ただ、その戦いを見届けなければならないと、私は何かに急かされ、走っていた。

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