巨大な爬虫類に翼が生えていた。黒い鱗は鎧のよう。赤い眼は人を魅了する宝石のよう。鋭い牙は火炎で隠れそうになってい……
た
‐あ‐
黒いドラゴンの口から吐き出された大量の火炎は、酒場とその隣にあった民家を全て飲み込んだ。街路を縫うようにして広がっていく火炎。逃げ惑うプレイヤー達を襲い、一瞬で焼き尽くした。
500メートルは離れていたこの民家の周りの街路も大量の火炎の洪水が襲った。炎なのに、水。おかしな表現だが私にはボキャブラリィーがないので許せ。それはどうでもいい。
ほんの少しの暑さを感じたが、実際こんな出来事があったらその程度ではすまないだろう。現実と虚実が入り乱れる。迫真の映像に私は本当の『暑さ』、『熱』を感じた気がした。肺への圧迫感、肌が溶けていくような感覚。
「しっかりして。あてられないように」
横でアメツキ青年が私を心配していた。寒気は最早全身を支配し、一刻も早くこの場を立ち去りたくなった。
「潮時だな……、逃げるか」
アメツキ青年は呟くと、私の肩に手を置いた。
また私を襲う浮遊感。その刹那、酒場、民家、街路、炎で包まれた全ての場所から、空まで伸びる無数の光の柱が見えた気がした。
それはまるで、死者の魂が天まで登っていく為の道のようだった。
た
‐あ‐
黒いドラゴンの口から吐き出された大量の火炎は、酒場とその隣にあった民家を全て飲み込んだ。街路を縫うようにして広がっていく火炎。逃げ惑うプレイヤー達を襲い、一瞬で焼き尽くした。
500メートルは離れていたこの民家の周りの街路も大量の火炎の洪水が襲った。炎なのに、水。おかしな表現だが私にはボキャブラリィーがないので許せ。それはどうでもいい。
ほんの少しの暑さを感じたが、実際こんな出来事があったらその程度ではすまないだろう。現実と虚実が入り乱れる。迫真の映像に私は本当の『暑さ』、『熱』を感じた気がした。肺への圧迫感、肌が溶けていくような感覚。
「しっかりして。あてられないように」
横でアメツキ青年が私を心配していた。寒気は最早全身を支配し、一刻も早くこの場を立ち去りたくなった。
「潮時だな……、逃げるか」
アメツキ青年は呟くと、私の肩に手を置いた。
また私を襲う浮遊感。その刹那、酒場、民家、街路、炎で包まれた全ての場所から、空まで伸びる無数の光の柱が見えた気がした。
それはまるで、死者の魂が天まで登っていく為の道のようだった。
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