84、言いかけた言葉 【いいかけたことば】
2006年6月27日 100題・白瀬英輔
「エ……? ア……?」
言いかけた言葉は、大気に溶けて消えた。
代わりに、浮かんで、きたのは、
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平和な日々。
殴られて、いじめられて。 何も覚えてなくて、知らなくテ。
じんじんと痛む頬を撫でながら、屋上に出た。
晴れ渡った青空。澄み切った田舎の風。
「毎日、いるよね、君」
ふわりとした心地の良い声が脳を刺激した。
「青空と、この風がたまらないんだ」
答えて振り返ると、黒い髪が印象的な、中性的で整った顔立ちの少年が立っていた。
「大丈夫、傷?」
心配そうに僕の顔を眺めている。
「慣れたよ」
僕ははにかんだ。
「黒部洋。16歳。独身」
中性的な顔立ちの彼は、僕がイジめられている、ということを知ってか知らずか明るく自己紹介をしてきた。
「ヨウ? 太平洋の洋?」
「うん」
「そうか、僕は白瀬英輔。ヨロシク、ヨウ」
即。僕らは友達になった。
太陽のように、まぶしい記憶。
「エ……? ア……?」
言いかけた言葉は、大気に溶けて消えた。
代わりに、浮かんで、きたのは、
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平和な日々。
殴られて、いじめられて。 何も覚えてなくて、知らなくテ。
じんじんと痛む頬を撫でながら、屋上に出た。
晴れ渡った青空。澄み切った田舎の風。
「毎日、いるよね、君」
ふわりとした心地の良い声が脳を刺激した。
「青空と、この風がたまらないんだ」
答えて振り返ると、黒い髪が印象的な、中性的で整った顔立ちの少年が立っていた。
「大丈夫、傷?」
心配そうに僕の顔を眺めている。
「慣れたよ」
僕ははにかんだ。
「黒部洋。16歳。独身」
中性的な顔立ちの彼は、僕がイジめられている、ということを知ってか知らずか明るく自己紹介をしてきた。
「ヨウ? 太平洋の洋?」
「うん」
「そうか、僕は白瀬英輔。ヨロシク、ヨウ」
即。僕らは友達になった。
太陽のように、まぶしい記憶。
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