・黒部洋

 カエルは俺の中の黒を感じたのか、一目散に逃げた。
 やはり野生の動物は鋭い。
 僕は感心しながらまたカエルを追う。
 逃げ回るカエルを、私は容赦なく追い回す。
 そこに深い意味はない。我は、ただ、追いかけたいから、追いかける。
 そのうち、カエルはひっくり返って死んでしまった。
 わしの行動は全て死に繋がっている。
 感慨はない。

 砂嵐。

 雑音と一緒に視界がなくなる。
 同時に人間「黒部」は消える。
 いや、もとより「黒部」などいないのか。

 (オレ、誰だっけ)

 自分が何者か、探る。
 答えは出ない。

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