渦巻く大気。
 あまりの落下速度に高熱を帯びた僕の一撃は。
 先ほどのクレーターをさらに大きくしただけだった。
 その衝撃はカラダ全体に響いたが、
 最早人ではないカラダを気遣う必要はない。
 砂煙はやはり風圧ですぐに晴れる。

 攻撃を外した原因はわかっている。大振りすぎた。

 いつのまにかクレーターの外に移動していたソウは、おかしなカタチに曲がった首と腕を支えながら、大笑いしだした。

「はははははは! あハハハああハハ!」

 ああ、いらないな。

 この、異常な世界に、
 人間の思考、理性はいらない。
 化け物同士の戦いだ。
 お互い、委ねようか。

「はは……ははは」 

 僕も。
 自然と、笑いが漏れた。
 同時に、吐血した。
 胸の傷より右腕の再生を優先した所為か、胸には大きな穴が空いたままだった。

「ハハハハハ!」

 血を吐きながら笑う。狂った道化の僕。
 血はまだ赤い。それが不思議でたまらない。

 ――まるで人間みたいだ。と他人事のように思う。

 僕の胸には穴が空いたままだ。

 あの日世界が壊れたとき、
 ボクも一緒に壊れたのかもしれない。

 ――――思考、停止。 

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