55、自転車 【じてんしゃ】
2006年5月29日 100題・黒部洋
飛行船は飽きた。シラセを探すのには便利だったが、退屈すぎた。
だから今は、自転車に乗っていた。既に人間じゃない体はペダルをいくら漕いでも疲れなかった。
カラダは人間じゃなくても、ヨウには何故かココロはあった。欲望があった。
――シラセ、どこにいる?
――夕暮れが、自転車を漕いでいる中性的な美少年の影を作っていた。何処までも伸びる黒い影。
飛行船は飽きた。シラセを探すのには便利だったが、退屈すぎた。
だから今は、自転車に乗っていた。既に人間じゃない体はペダルをいくら漕いでも疲れなかった。
カラダは人間じゃなくても、ヨウには何故かココロはあった。欲望があった。
――シラセ、どこにいる?
――夕暮れが、自転車を漕いでいる中性的な美少年の影を作っていた。何処までも伸びる黒い影。
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