・黒部洋

 飛行船は飽きた。シラセを探すのには便利だったが、退屈すぎた。

 だから今は、自転車に乗っていた。既に人間じゃない体はペダルをいくら漕いでも疲れなかった。

 カラダは人間じゃなくても、ヨウには何故かココロはあった。欲望があった。

 ――シラセ、どこにいる?

 ――夕暮れが、自転車を漕いでいる中性的な美少年の影を作っていた。何処までも伸びる黒い影。

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