・高橋秋

 おそらく眼の再生は異物(石)を取り除かないと無理だ。少しは時間を稼げるはず。
 姉のショック状態はショックで治した。後が怖い。

 ……シラセはやはり駄目か。

 赤い水溜りに沈むシラセは明らかに死んでいる。もともと色白だった肌はさらに青白くなり、薄く光っているようにも見えた。

 余計なことを考えている暇はなかった。選択肢は一つしかない。姉の手を掴み、闇とビルの群れの中へ飛び込もうとする。
 問題は、

「おい、こら、何をする!」

 姉の手がそれを拒むことだ。

「ヤツは、シラセを殺したんだぞ!」

 今は、逃げるしかないんだよ!

 しかし、それを説得する間はなかった。
 既に眼から素手で石を抜き取ったソウが、その暴力を高橋兄弟に向けて放とうとしていたからだ。
 
 目の前にはスローモーションで、飛んでいるように見える速さのソウ。血の涙を流しながら喜びを隠さない狂気の表情。
 人間離れの超加速と化け物じみた超腕力との掛け算。それではじき出した攻撃の威力。

 確実

 シュウのポケットから石が落ちた。
 その石が地面に落ち、乾いた音を立てた時、二人は肉片に変わる。

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