50、煙 【けむり】
2006年5月24日 100題・高橋冴
今も。
少しずつ消えていくシラセの血煙。広がる赤い水溜り。水溜りに沈んだ、青く冷たくなっていくシラセの亡骸。気絶しているが呼吸はしているユウリ。破壊、戦い、死を求める黒く禍々しいモノ。
サエの時間は止まっていた。
人の温かさを持たないソウの手に首をつかまれ、そのまま持ち上げられる。死が直面しても、サエの時間は動かない。
シラセの時間が止まったとき、サエの時間もまた止まってしまった。
それほど、親しかったわけでもない。
私の前にでるシラセの背中。、何故、そんなことを?
無論、好きだったわけでもない。
誰かの為に命を迷わず投げ出すシラセ。、何故、迷わないの?
シラセのこと、深く知っていたわけでもなかった、……けど。
何かに一途に、意志を曲げなかった、シラセ。、どうして?
どうして?
彼の死は、驚くほどあっけなかった。
彼は本当に、死んでしまった。
彼はあまりにも、報われることがなかった。
彼のことを、遂に深く知ることはできなくなってしまった。
そう思ってしまってから、サエの時間は止まった。
そして、そのタイムラグは致命的だった。
「つまらないな」
ソウは言いながら、赤の発現者の首を絞める手に力を込める。
今も。
少しずつ消えていくシラセの血煙。広がる赤い水溜り。水溜りに沈んだ、青く冷たくなっていくシラセの亡骸。気絶しているが呼吸はしているユウリ。破壊、戦い、死を求める黒く禍々しいモノ。
サエの時間は止まっていた。
人の温かさを持たないソウの手に首をつかまれ、そのまま持ち上げられる。死が直面しても、サエの時間は動かない。
シラセの時間が止まったとき、サエの時間もまた止まってしまった。
それほど、親しかったわけでもない。
私の前にでるシラセの背中。、何故、そんなことを?
無論、好きだったわけでもない。
誰かの為に命を迷わず投げ出すシラセ。、何故、迷わないの?
シラセのこと、深く知っていたわけでもなかった、……けど。
何かに一途に、意志を曲げなかった、シラセ。、どうして?
どうして?
彼の死は、驚くほどあっけなかった。
彼は本当に、死んでしまった。
彼はあまりにも、報われることがなかった。
彼のことを、遂に深く知ることはできなくなってしまった。
そう思ってしまってから、サエの時間は止まった。
そして、そのタイムラグは致命的だった。
「つまらないな」
ソウは言いながら、赤の発現者の首を絞める手に力を込める。
コメント