弾かれたように皆が動く。
両足に赤を発現させたサエさんはユウリさんと共にソウに迫った。
シュウさんは青い眼で状況を瞬時に確認し、カイくんを抱えてビルの外に出た。

僕は何もできず、その場に突っ立っていた。
右腕がなくなった、僕にできることは、あまりない。

色の力をいきなり限界近くまで上げ、両足に集中させたサエさんの一撃は凄まじかった。
全力の飛び蹴り。
頭部にその一撃を喰らったソウは、まるで壊れたマネキン人形のような姿になって壁に減り込んだ。

ユウリさんは両の掌に橙を発現させた。
これも、サエさんに劣らない力と集中だった。
ユウリさんは迷わず動きの止まったソウに迫る。
ユウリさんの掌がソウに触れたと思った瞬間。

閃光と大音響。

小規模の爆発が起きて、ユウリさんは衝撃で後ろに吹き飛ばされた。
僕はユウリさんをなんとか体全体で受け止めた。
盾やクッションになるぐらいしか僕にはできない。

ユウリさんは気絶しているが、命に別状はなさそうだ。

白い煙が立ち込めている。
ビルの壁の一角を全て吹き飛ばすほどの爆発だった。
普通の人間ならば、粉々になるほどの爆発だった。

それでも、ソウは、存在していた。
夜の闇を背景にさらなる闇が存在していた。
体は穴だらけで原型をとどめている場所は少ない。
腕は片方が皮一枚でぶら下がっている。
足は両方なくなっていた。
ソレは最早人間ではない。
顔は爆発の衝撃と熱で半分が焼け爛れ、崩れていた。

焼け爛れた部分が悲しみを表している、と思った。
逆に、無事な部分は喜びを露にしているから。

まるで、泣き笑いしているようだと僕は思ったのだ。

コメント

痺れ武蔵
痺れ武蔵
2006年5月14日18:00

主人公がんばれ

雨月三水
雨月三水
2006年5月15日8:14

彩度あげるのはともかく明度上げると白くなっちゃうよ!
あと違う色が同じ明度と彩度になるのもまずありえないよ!

ごめん細かかった

平田
平田
2006年5月15日13:59

ま、まぁ事実ですし。
やっぱり不自然ですよね、力のほうがいいかな。

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