見よ。

無機質な声。
カラッポだった頃の僕がずっと見ていた。
研究所の白の天井のように、無機質。
……その声は、人間のものではなかった。

見よ

それは、人間の声ではなく、意志。
僕の頭に直接ぶつかる、人間じゃないものの意志。

見よ。

スクリーンに映る洋館が歪む。
波状になり、渦巻状になり、そして崩れるように消えていく。
それにつられるように、記憶の映画館も消えていく。

その光景を身動ぎもできずに眺める僕。
酷くなる赤(危機)と白(解放)の点滅。
雑音が脳に響き、視界が黒に支配されていく。

ミ……ヨ……

やがて深い闇に僕は沈む。

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頭痛が現実の証拠だ。
夢と現の判別ぐらいはできる。

ゆっくり眼をあけ、状況を確認する。
それほど記憶に混乱はなかった。
完全な闇から薄暗い闇。
コンクリートの壁と、その壁に開いた穴。
穴の前に立つ、黒く禍々しい存在。
キバさんを倒したシンカイソウ。

「戦おう」

幾度も聞いたフレーズ。
ソウの意志、いや……違う。
もっと、大きな、世界そのものの意志。

黒色。
病気、闇、抑圧、絶望、罪悪、負け、恐怖……勇猛、破壊、吸収、死。

黒の塊のような存在(ソウ)の矛先は、僕達へと向けられた。

「さあ、戦おう!」

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