19、カラス 【からす】
2006年4月23日 100題この頃、カラスをよく見かけるような気がした。
かなりの数のカラスが、静かに僕のことを見つめている。
僕がそれに気付くと、バサバサと羽音をたてて、一斉に飛んでいく。
赤と灰色の世界にカラスの姿はよく溶け込んだ。
黒部との戦いから一日後。
なんのあてもなかった僕にシュウさんは一言。
「医者を探す」
今の日本に病院という超テクノロジー建築物はない気がしたので、せめて医者を探す、ということらしい。
「お前の体、自分では気付いていないかもしれないけど、ボロボロだよ」
シュウさんは労わるように言った。
……さて
それから今まで、1週間の間に、形を保っている人間に何度か出会った。
比較的、ここの地域は無事な人が多い。
環境が良いのだろう。
はっきり言っては悪いがここは田舎だ。
都会ほどの便利さがない代わりに、それを補う為の経験を積むことができる。
生きるための経験はその人の色をより一層鮮やかにする。
都会の人々は、便利、快適……幸せを求めすぎたばかりに、不幸になる。
偏食、運動不足、ストレス、病気、etc...。
何十年も前から知られていることだが、人々はそう簡単には変われなかった。
結果、ほとんどの人間の色が黒く染まってしまった。
そして世界が変わった日。
自らの色、『黒』の特性、「破壊・吸収」によって理性と肉体を失って……黒い影になってしまった。
これは噂で余談だが、黒い影の発生率が最も高かったのは病院らしい。
カラスがまたこっちを見ていた。
カラスの姿は真っ黒だった。
しかし彼らは自分の姿を保っていた。
(君達は、姿が黒でも、黒じゃない。
それぞれの色を持っているのか……)
カラスはカァーと一鳴きすると、赤い空に舞い上がった。
黒いシルエットがくっきりと、赤い空に映る。
かなりの数のカラスが、静かに僕のことを見つめている。
僕がそれに気付くと、バサバサと羽音をたてて、一斉に飛んでいく。
赤と灰色の世界にカラスの姿はよく溶け込んだ。
黒部との戦いから一日後。
なんのあてもなかった僕にシュウさんは一言。
「医者を探す」
今の日本に病院という超テクノロジー建築物はない気がしたので、せめて医者を探す、ということらしい。
「お前の体、自分では気付いていないかもしれないけど、ボロボロだよ」
シュウさんは労わるように言った。
……さて
それから今まで、1週間の間に、形を保っている人間に何度か出会った。
比較的、ここの地域は無事な人が多い。
環境が良いのだろう。
はっきり言っては悪いがここは田舎だ。
都会ほどの便利さがない代わりに、それを補う為の経験を積むことができる。
生きるための経験はその人の色をより一層鮮やかにする。
都会の人々は、便利、快適……幸せを求めすぎたばかりに、不幸になる。
偏食、運動不足、ストレス、病気、etc...。
何十年も前から知られていることだが、人々はそう簡単には変われなかった。
結果、ほとんどの人間の色が黒く染まってしまった。
そして世界が変わった日。
自らの色、『黒』の特性、「破壊・吸収」によって理性と肉体を失って……黒い影になってしまった。
これは噂で余談だが、黒い影の発生率が最も高かったのは病院らしい。
カラスがまたこっちを見ていた。
カラスの姿は真っ黒だった。
しかし彼らは自分の姿を保っていた。
(君達は、姿が黒でも、黒じゃない。
それぞれの色を持っているのか……)
カラスはカァーと一鳴きすると、赤い空に舞い上がった。
黒いシルエットがくっきりと、赤い空に映る。
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