「シュウさん?」

「シラセ、分かったよ。俺の色が」

シュウさんは恥ずかしそうにこちらを振り向いた。
黒かった瞳が青に染まっていた。

「青ですか」

「ああ、青だ」

「髪を青く染めていたから、知ってるんじゃないかと思っていました」

「いや、これは地毛だ」

さて、どうしようか。
状況を整理すると……
僕は黒部を探していたが、サエさんの強力な発現により奴からやってきた。
黒部を探す手間は省けたが、奴は躊躇せず僕以外の人間は壊すだろう。(あるいは僕も壊すかもしれないが)
それは絶対に、避けなければならない……

と、いうことで二人を守ることに。

現在は消えているとはいえ、サエさんの発現は強力すぎた。
いくら距離があり、発現が衰えていたとはいえ、ここの場所が感知されている可能性は高い。
黒部が森を破壊しながらこっちに向かって突き進んでくる際の破壊音、衝撃音が今にも聞こえそうだ。
予想外のアドバンテージは、シュウさんの発現だ。
能力次第では助けになるかもしれない。
しかし、助けにならない可能性も高い。

結局、一番確実な方法は……

「シュウさん……」
「駄目だぞ」

まだ何も言ってません。

「姉があの時何故キレたのかわからないのか?
 足止めする? 右腕がない、左腕が義手、体中傷だらけのお前に、その役が務まるとは思えないぞ。
 あの黒いのは、化け物だ。
 戦える相手じゃない。
 そもそも、会ったばかりの俺たちに、お前は何故そんなに体を張れるんだ?
 一歩間違えてたら死んでたぞ、お前? 
 ……それとも自分は死んでもいいなんて思ってるんじゃないだろうな?
 いや、思ってるな。
 他人同然の俺達を、命を賭して守ろうとする。
 右腕を失って体中から血が出て今にも倒れそうで……ボロボロになっても、お前はまだ俺たちを助けようとしている。
 シラセ、お前は何故そんなことができる?」

……罪から逃れる為……

いつのまにか暗雲によって月と星は消え、辺りは真っ暗になっていた。

「とにかく、俺たちの所為で、お前が死んだら後味が悪い。
 死に急ぐような真似、言動は二度とするなよ?」

「……すみません」

いつのまにか出るようになっていた声で、謝る。
本当に申し訳なかったが……。

「うん、でもお前はこれからも、人を助けるだろうなぁ……体を張って、命を賭けて」

全てを見透かしたかのように、苦笑いするシュウさん。
青は、冷静、知性、探知、観察。
見破られているのだろう。

「色々言ったけど、俺も姉も、感謝はしている。
 助けてくれて、ありがとう。
 だからこそ、死なないで欲しい」

少し心が温まったが、まぁ、天候は悪くなっていくばかりで……

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