シュウさん?

辺りには虫の音もなく、静かすぎる夜だった。
風も全くなく、湖面どころか空気にも波は存在していない状態だ。

異常なほど張り詰めた空気。

シュウ……さん?

声が出ない。
動くこともできない。
湖面をじっと眺めるシュウさんは、深い考え事をしているように見えた。

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高橋秋は、自分に呆れていた。

姉とシラセが何故あんな力を発揮できるのか。
何故自分は見ているだけだったのか。
自分は一体何色なのか。

解った。

解ったとき、それがいかに簡単なことで、つまりすぐ解るようなことだったのかも、やはり解って、

呆れた。

色は、力は、いつでもあったんだ。

俺の中に。
心の中に。
姉に。
シラセに。
空に。
湖に。
世界に。

それをただ、認めるだけでよかった。

この限りなく青の特性に近い空間のおかげで、俺の本当の色が解った。
それは、
静寂、沈着、深遠、冷静、清涼、知性、理性。

だ。

完全に、青だ。

認識する前の俺は、そんなこと夢にも思わなかった。
姉と同じ赤だと思っていた。
彼女の色に憧れていたのかもしれない。

だが、俺は青。
認めよう。
そして、守ろう。

高橋秋は、何故か涙を流していた。
涙の滴が湖面にゆっくりと波紋を広げた。
同時に高橋秋の眼にも青が広がっていった

コメント

ざるうどん
ざるうどん
2006年4月14日21:10

青い眼の力ですね。

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