「そうだな、来るな」
サエさんは流石である。
「え? 何が」
シュウさんの一般的反応は正しい。
「20……30……38匹か」
さらに影達の数まで正確に測るサエさん。
貴方本当に人間ですか。
「私が半分、シラセが10匹、シュウは9匹でいいな」
「姉よ、それは俺に死ねと言っているのか」
確かに色が発現していないシュウさんを戦わせるのはちょっと酷だろう。
内在する色はかなりの彩度がありそうだが……
「大丈夫ですよ。僕が半分……
言おうとして、声が出なかった。
喉が焼けるように熱い。
この頃は調子が良かったので、油断した。
黒影さん達には意思がないので待ってはくれない。
順調に襲い掛かってきた。
まずサエさんが飛び上がり、上空から迫る影達を次々に蹴り飛ばしていく。
迫る影を踏み台にしてさらに上昇する。
「私が影を惹きつける! 自分の身は自分で守るのだぞ!」
危機が増した所為か、サエさんの赤の発現が強くなっている。
流石、赤だ。危険の中でさらに強くなる。
派手に輝くサエさんの赤の脚に影達は集中するようになる。
まるで上空で輝く赤い星に暗雲が迫っているようだ。
それでも僕とシュウさんを狙う影はいた。
いつものように、影の手をかわし、間合いに入り、心臓を抜き取る。
そして僕はその際に、どうしても出ない声で、謝る。
『ごめんなさい』
僕が世界を壊したセイで、
「皮」(『理』『体』『活』『常』等)を剥がされ、「色」(本質)を曝け出してしまった人々。
現代の多様な要素から形成されていた人々の本質が、まるで沢山の色をぐちゃぐちゃに混ぜた黒になってしまうのは仕方がないと思う。
だが、わざわざ曝け出すことはなかったのだ。
全て、僕が悪い。
黒い影は、元は人なのだ。
それは変わらない事実。
受け止める。大丈夫。
ごめんなさい。
大気に溶けるように、僕の殺した人は消えていった。
「影を消滅させた……?」
弟さんが驚いた様子で僕を見ている。
休む暇もなく影達が迫る。
幾度も戦ってきたが、慣れることはない。
結局は体中を大小、抉られることになる。
でも、血まみれになりながらも、生きている。
僕は生きていた。
上空ではサエさんの両脚に変化が起きていた。
赤の色がさらに彩度を増していた。
明度も上がっている。
まるで燃えるように、赤いオーラが迸っている。
赤い星、という表現が適切ではなくなってきた。
まるで、太陽。
やばい……
僕は声を出そうとした。
出ない。
不甲斐ない、悔しい、やばい、止めるんだ、僕は何をやっている。
僕は心の中で絶叫をあげることしかできなかった。
とにかく悔しかった。
止めなきゃ、止めなきゃ、止めなきゃ!
サエさんは流石である。
「え? 何が」
シュウさんの一般的反応は正しい。
「20……30……38匹か」
さらに影達の数まで正確に測るサエさん。
貴方本当に人間ですか。
「私が半分、シラセが10匹、シュウは9匹でいいな」
「姉よ、それは俺に死ねと言っているのか」
確かに色が発現していないシュウさんを戦わせるのはちょっと酷だろう。
内在する色はかなりの彩度がありそうだが……
「大丈夫ですよ。僕が半分……
言おうとして、声が出なかった。
喉が焼けるように熱い。
この頃は調子が良かったので、油断した。
黒影さん達には意思がないので待ってはくれない。
順調に襲い掛かってきた。
まずサエさんが飛び上がり、上空から迫る影達を次々に蹴り飛ばしていく。
迫る影を踏み台にしてさらに上昇する。
「私が影を惹きつける! 自分の身は自分で守るのだぞ!」
危機が増した所為か、サエさんの赤の発現が強くなっている。
流石、赤だ。危険の中でさらに強くなる。
派手に輝くサエさんの赤の脚に影達は集中するようになる。
まるで上空で輝く赤い星に暗雲が迫っているようだ。
それでも僕とシュウさんを狙う影はいた。
いつものように、影の手をかわし、間合いに入り、心臓を抜き取る。
そして僕はその際に、どうしても出ない声で、謝る。
『ごめんなさい』
僕が世界を壊したセイで、
「皮」(『理』『体』『活』『常』等)を剥がされ、「色」(本質)を曝け出してしまった人々。
現代の多様な要素から形成されていた人々の本質が、まるで沢山の色をぐちゃぐちゃに混ぜた黒になってしまうのは仕方がないと思う。
だが、わざわざ曝け出すことはなかったのだ。
全て、僕が悪い。
黒い影は、元は人なのだ。
それは変わらない事実。
受け止める。大丈夫。
ごめんなさい。
大気に溶けるように、僕の殺した人は消えていった。
「影を消滅させた……?」
弟さんが驚いた様子で僕を見ている。
休む暇もなく影達が迫る。
幾度も戦ってきたが、慣れることはない。
結局は体中を大小、抉られることになる。
でも、血まみれになりながらも、生きている。
僕は生きていた。
上空ではサエさんの両脚に変化が起きていた。
赤の色がさらに彩度を増していた。
明度も上がっている。
まるで燃えるように、赤いオーラが迸っている。
赤い星、という表現が適切ではなくなってきた。
まるで、太陽。
やばい……
僕は声を出そうとした。
出ない。
不甲斐ない、悔しい、やばい、止めるんだ、僕は何をやっている。
僕は心の中で絶叫をあげることしかできなかった。
とにかく悔しかった。
止めなきゃ、止めなきゃ、止めなきゃ!
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